基本的に大人のつく嘘と、子供の嘘は違います。大人の嘘はそこに悪意があったり、自分の都合があったりしますが、子供は「こうだったらいいのになあ」と思うことを「こうだった」と断定して言ってしまうことがあります。これは、嘘というより、大人の様に正確に伝えられないのです。
私が幼稚園で担任していたクラスで、夏休みの前に「みんなは夏休みに何をするのかな?」
と聞いたところ、「私は海に行くよ」「おばあちゃんの家に行く」等、みんなが口々に話してくれました。そして、一人の男の子が元気に手を挙げ「先生、ぼくは家族でブラジルにサッカーを見に行く!」と言ったので、私は大変驚き、「すごいね~」と答えました。
放課後、迎えに来られたお母さんに「Iくんのご家族は、夏休みにブラジルへ行かれるんですか?」と聞くと、お母さんはきょとんとしておられました。Iくんから聞いた話をすると、お母さんは「テレビでサッカーを見て、『いつかブラジルに行けたらいいね』とは言いましたけど…。なんでそんな嘘つくの!」と、Iくんは怒られてしまいました。私はお母さんには、子供は事実と違っていても、そうなってほしいなと思うことを「そうだ」といってしまうことがあること、だからIくんを怒らないようにと伝えました。
また、他のクラスのYちゃんは、よく「年長さんに押されたからけがをした」、「Aちゃんがたたく」等と言うことが多くありました。注意をしてみていると、実際はそうではないのに、そのように言うと、大人が驚いて話をよく聞いてくれるので、ついそんなふうに言ってしまっていたようです。そういった場合、悪意はないとしても、他の人に迷惑がかかってしまいます。
叱らずに、その時その時にしっかりと話をし、抱きしめて「もう、本当でないことは言わないで。それは、よくないよ。OOちゃんのこと大好きなのに、嘘ついたら悲しいな」と話してあげることによって、少しづつ改善されていくと思います。
子供が本当のことを言ってくれないこともあります。その時はしっかりと目を見て、「本当のこと教えて。絶対に怒らないから」と真剣に問いかけてみてください。そして、本当のことを子供が言った時に、決して叱らないことです。「自分のしたこと、よくないってわかってるよね。でも、本当のこと言って偉かったね」と、ぎゅっと抱きしめてあげてください。
嘘をつかず、飾らず、そのままの自分で生きていける、強い子に育ってほしいですね。