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700年来の伝統文化を伝えたい
9月初旬、HawthornのTown Hall Galleryで、小原流いけばな展が開催されます。日本からは小原流の原豊喜助教授が来豪し、伝統的なものからモダンなものまで多彩ないけばなを披露します。今回の見所、いけばなを通して伝えたいこと等をうかがいました。
原 豊喜
小原流いけばな助教授
原 豊喜 ハラ ホウキ
1968年小原流入門。
1982年に小原流研究院講師任命。
1998年に同院助教授任命。日本国内、インドネシア、エジプト、サウジアラビア他でデモンストレーション、花展を開催。高知県在住。
小原流いけばな展
日時:9月2日(火)デモンストレーション
    9月4日(木)~7日(日)
場所:Hawthorn Town Hall
19世紀末の盛花が始まり
いけばなとの出合いは職場です。ある朝出社すると、土色の備前焼の器に、椿と梅の花が生けてあり、その環境に溶け込むようなさりげなさに一目惚れしてしまいました。当時は花嫁修業として華道や茶道が人気だったこともあり、さっそく小原流の門を叩いたんです。
現在華道は、日本に大小併せて2000以上の流派があると言われており、その三大流派が池坊、草月、小原です。小原流は19世紀末、盛花(もりばな)という新しい形式を考案した時から始まりました。それまでのいけばなは、枝や花を束ねるようにして、ワンスポットにいける形が主流でした。盛花は水盤という口の広い器に、剣山を使って花を盛るように展開する面的な広がりを強調するといった特徴があります。盛花が登場した明治期は、鎖国も終わって海外から花が入ってきた時期で、そうした切花は丈が短い為、花瓶では対応できなくなったという背景もあります。

メルボルン支部創部20周年
オーストラリアには、現在2つの支部とスタディグループがあります。今回の催しはメルボルン支部創部20周年を記念してのものですが、2代目にあたる現支部長は私自身の元教え子ということもあり、昨年家元から申し渡しがあった時から、とても楽しみにしていました。
日本で花材となる観葉植物はオーストラリア産が多く、地元の高知でも花屋さんへ行けば、バンクシャー、カンガルーポー、プロテア等、常に10種類くらい並んでいます。それだけに、植物の種類が豊富で緑あふれるオーストラリアには一度は行ってみたい、その固有種をこの目で見てみたいとも思っていました。

見所は土佐和紙とのコラボレーション

海外でのデモンストレーションは2005年の中東3ヶ国訪問に続くものですが、花材の調達に一番手間取ります。草花は世界中どこへ行ってもほとんど同じものが揃えられますが、いけばなのメインとなる枝物は、国によって植物に対する規約が違う為、入手するのが大変です。桜や梅のような日本の木ならば、日本人宅へ行って分けてもらうこともあります。

今回のデモンストレーションでは、オーストラリアの風景をイメージして地元の花材で作る写景盛花、絵巻物のような琳派調、瓶花(へいか)、造形と11種類のいけばなをお見せします。フィナーレの舞台アートは“桜”をイメージした和紙と生け花のコラボレーション。生まれ育った高知県は土佐和紙が有名で、物心ついたときから和紙が身近にあったこと、和紙も原料は植物であることから、自然と作品に和紙を取り入れるようになり、それが私のスタイルともなりました。

“一度切り取られた花にもう一度生命を与えること”がいけばなと言われます。花が美しい時に切り取って、その美しさを生かしていく為に、生け手の魂が込められるのです。これが、空間を埋めていくという西洋のフラワーアレンジメントと大きく異なる点です。

外国で暮らすと日本の良さがわかると言われますが、私自身も海外へ行くことが多い為、日本の伝統文化の素晴らしさを実感する機会に恵まれているのだと思います。そんな世界に誇れる700年来の日本の伝統文化の重みを、オーストラリア人に伝えることはもちろん、日本人にも再認識していただければと思います。