切ったトクサを縦に並べて、中に詰めて、花留めに
今回もまた簡単な花の留め方を紹介します。手の平にも乗る小さな花器。切ったトクサを縦に並べて、中に詰めて、花留めにします。作例では、トクサの空の茎に千日紅を気ままに挿し込んでいます。トクサは繁殖力が強すぎるせいか、豪州では雑草に指定されていて、我が家の砂地のような庭にも、あっという間に広がってしまいました。今は鉢に移しています。鮮やかな緑がきれいで、生花では重宝しますが、入手は困難。代わりにストローを切って使ってもいいでしょう。
今回の花器はヒロエ・スウェイン作で、ご本人からのプレゼント。ヒロエさんとの出会いは、人生が用意してくれる素敵な偶然の1つ。私事ですが、お話しましょう。
数人の友人を訪ねる1人旅の途中、シドニーからキャンベラ行きのバスに乗った時のこと。隣に座ったメガネの男性に突然、「日本人か?」。礼を失しない対応は心得ているものの、この国に来てから、なぜかゲイの方に声をかけられることが多くて、多少身構えてしまった私にも、お構いなし。「僕の家内、ヒロエを知らないか?」。「すみませんが、知りません」。それでも話しまくります。日本の素晴らしさ、役人時代の人生、日本での奥さんとの出会い。終点まで休みなし。まるで何年も島流しになっていた人が、初めて話が通じる人と出会ったという勢いでした。停車場で待っていたヒロエさんも、ご主人の「話しまくったよ」という自慢には、いささかあきれ顔。「普段は口数が少ないんですよ。多分あなたを気に入ったのでしょう」。
私を待っていたオーストラリア人の学者も、ヒロエさんを知っていて、豪州で5本の指に入る陶芸家だと教えてくれました。それからお付き合いが始まりましたが、離れているので、お会いする機会もほとんどありませんでした。それが急に変わったのは、私の家内の突拍子もない妄想のせい。そのため、この花器をいただくようなことになったのですが、そのいきさつについてはまた、次回。