花を留める
生活に花を持ち込んで気持ちを明るく…。
その為のヒントをあなたに。

四輪目
剣山を使わない簡単なテクニック
「花を留める」、それが花を生ける前提です。花瓶に放り込んだだけでは、花を生けたとは言えないでしょう。基本ステップを習ってはじめて、楽しくダンスが踊れるのと同じです。花を留める工夫があってはじめて、花を生ける楽しみがある、ということですね。

剣山を使わない留め方をお話していますが、一体どれくらいの留め方があるのでしょう? ちょっとした生花辞典では60種類ぐらいは紹介しています。さらに細かく調べれば、数百は出てきます。馬具の轡、茶道用具、刀の鍔(今では骨董品。花留めに使えば叱られます)、水引、碁石、奉書紙、砂、大根の輪切り、スポンジ、さらには雪なども。何でも工夫して使ってきたのですねえ。先人の苦労に感心。私達の身の回りにも、使えそうなものがいろいろありそうです。そんな工夫も花を生ける楽しみのひとつです。

今回は、細長い葉をクルクル巻いて花留めにする方法。フラックス、アイリスなどの長い葉をゼンマイのように巻き、花器の内側に。葉と葉の隙間に花材を挿し込みます。

作例の花器は、出張で名古屋へ行った時、蚤の市で見つけたもの。とても安かったのですが、花を一輪入れるだけで、良い雰囲気を作ってくれます。数年前、バート・ニュートンのTVショーに招かれた時にも使いました。

花材はアルストロメリア。色が豊富で、安価で、年中出回っています。数日ごとに水切りすれば、とても長持ちします。水切りとは、花の茎を水に入れ、その先を水の中で切ってやること。空気が入らないため、花が水を吸いやすくなるのです。南米原産の重宝な花ですが、出回ったのは80年代からのようです。この桜色の花に散歩の途中、つまんできた葉や花を加えました。すべて葉留めです。

このような特徴のある花器を使う時は、そのデザインを生かすほうが無難でしょう。竹の円弧の内側に花を収めました。はみだせば野暮ったい。少しおとなしすぎるので、つぼみを外に向けて遊ばせています。

花を留める
華道家 新保逍滄