アレルギーを知って上手に付き合おう
オーストラリアは、春真っ盛り。これから夏にかけてBBQやビーチなど野外活動が増える楽しい季節ですが、その反面、花粉症や陽に当たってじんましんが出るといった、アレルギーのトラブルで悩む人も少なくないはず。日本人は2人に1人、オーストラリア人も4割と言われるアレルギーは、先進国に多い現代病と言えるようです。
今回は、連載でおなじみのDr. Mark Prestonにお話を聞き、「アレルギーのことを知って、うまく付き合う方法」を考えてみました。
アレルギー対策五ヶ条
● 油断大敵! 症状が出たら、早めに受診を。
● 素人判断は禁物! まずは医師に相談しよう。
● 皮膚への刺激を避けること。
  日差し・石けん・洗剤は大3刺激物。
● 日頃から健康的な食生活、生活習慣を心掛けよう。
● 日焼け止めはもちろんのこと、保湿で乾燥から肌を守ろう。

アレルギーって何? どうして起こる?
「アレルギー」という言葉は、1906年オーストリアで提唱されました。「アレルギー」と言っても、アトピー性皮膚炎、花粉症、食物アレルギーなど多種多様で、症状は異なりますが、いずれも同じ仕組みで起こっています。
私達の体は、ウイルスなど外敵から体を守る「免疫」を持っています。免疫は、ウイルスなどの異物を退治する「抗体」を作る大切な役割を果たしていますが、この抗体が過剰に反応しすぎて、逆に体に悪影響を与えてしまうのがアレルギーです。抗体が抗原(アレルゲン)をとらえるところまでは同じですが、体に良い結果をもたらすのが「免疫」で、間違った方向に働いて悪い結果をもたらすのが「アレルギー」というわけです。また、アレルギーは遺伝的な要素が大きく、両親ともアレルギー体質の場合、子供がアレルギー体質になる確率はほぼ100%と言われています。ただし、体質的なものが遺伝するだけで、症状がそのまま遺伝するわけではありません。アレルギーの家族歴がある人でも、生活習慣で予防したり改善することができます。
アレルギーと言っても、神経質になりすぎず、症状を軽減させながら上手に付き合っていきましょう。

日本とオーストラリアは花粉の種類が違う
「オーストラリアに来て数年経ったら花粉症になった」という話を良く耳にします。日本の花粉症の原因は、主にスギ花粉など木を中心としたもので、オーストラリアの花粉症の原因は、Ryegrassなど7種類のネイティブの雑草のものです。
特にメルボルンは『国内で花粉の最も多い街』、中でもギプスランドにある、Lakes Entrance が花粉の多い地区と言われています。春の晴れた日、雑草の多い場所から風が吹いて花粉を運んでくるので、メルボルンでは北風の日、パースでは東風、シドニーでは西風の日が、花粉の多い要注意日となります。花粉の量や種類、花粉の飛ぶ風向きなど、その年や場所によって異なります。同様に、人それぞれ花粉に反応する種類もレベルも違うので、日本で花粉症ではなかった人も油断しないようにしましょう。

オーストラリアで多いアレルギーにはどんな種類があるの?
オーストラリアで最も多いアレルギーとして挙げられるのは花粉症で、約5人に1人の割合と言われています。
その次に挙げられるのが、ダニアレルギー。人間や動物のいるところには、どこにでもいるダニ。カーペットやカーテン、ベッドなどで繁殖し、ダニの死骸やフンから起こるアレルギーです。  
他には、食物アレルギーなどがありますが、原因が特定しにくいので、素人判断で何かを食べるのをやめたりするのは禁物です。食物アレルギーの中でも昨今急増しているのは、ピーナッツアレルギーです。ピーナッツアレルギーは世界的にも増えていますが、その原因は不明と言われています。
その他には、以下のようなアレルギーが挙_げられます。

添加物アレルギーに注意!
ジャンクフード
炭酸飲料、インスタントラーメン、外食など、多く摂取しがちな現代人に増えているのが、添加物アレルギー。保存料、香料、柔化剤、酸化防止剤、着色料といった、食品に含まれている添加物の摂取が増えることによって起こることがあります。外食を減らし、野菜や果物などを多くとるようにし、体にやさしい食習慣で未然に防げます。日頃からヘルシーな食生活を心掛けましょう。

日光アレルギー
日光にさらされた皮膚に赤みやかゆみを伴う湿疹ができます。太陽光に当たった部分だけに炎症が起こるものと、日光と飲み薬、皮膚に塗った薬や化粧品により複合的にできる湿疹があります。多くの場合が複合的なものと言われています。

金属アレルギー
時計やネックレスなどの金属との接触により起こる皮膚炎。ニッケル、コバルト、クロムなどに反応するケースが多いです。

蜂アレルギー
蜂に刺されて起こるアレルギー。何度も刺されて症状が悪化し、アナフィラキシーショック(生命に関わる急激な全身のアレルギー反応)を起こす場合があります。

JUMPING JACK アリアレルギー
オーストラリア特有のもので、4人に1人がアレルギー反応を起こすと言われています。全長1.0~1.5cm程の大きさで、オシリの針で刺されると症状が出ます。

動物アレルギー
犬や猫などの体毛、皮膚に付くダニなどにより、鼻炎、
ぜんそく、皮膚炎といった症状が出ます。

職業アレルギー
職業上、接触回数の多い物質に対して起こるアレルギー反応。美容師はシャンプーや化学薬品、医師・看護師はゴム手袋、蜂農家は蜂…。統計では2人に1人が、職業アレルギーでその仕事を辞めているそうです。

主な症状は?
アレルギーの症状は多種多様で、種類の数以上に症状も多いと言っていいでしょう。例えば花粉症では、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなど、粘膜系の炎症が多く見られ、日光アレルギーでは、じんましん、むくみなどの皮膚症状を起こします。複合的になる場合もあります。部位別に見てみましょう。

:かゆみ、充血、涙目    :くしゃみ、鼻水、鼻詰まり    :口周りに湿疹   のど:はれ、かゆみ、咳、痰、呼吸困難
腹部:下痢、腹痛、吐き気、便秘   皮膚:かゆみ、湿疹、じんましん

こんなときは病院へ
「鼻が詰まって夜寝られない」「清潔にして保湿剤を塗っても湿疹が治らない」というように症状がひどくなってきたら、早めにGP(General Practitioner)を受診しましょう。症状を軽くし、長引かずに済みますし、適切な治療方法や薬を処方してもらえば、経済的でもあります。GPでは、花粉症ならシーズン中ずっと対処できるように、一般に入手できる薬よりも強めの薬を処方します。

症状がひどい人の治療方法は?
GPで治療薬を処方してもらっても、症状がなかなか良くならない、または症状が重い人には、「体質改善治療」という治療方法があります。GPでアレルギー専門医を紹介してもらい、そこで、原因を突き止めるためのアレルギー抗原の陽性反応テストをします。反応の出たものに対して体質改善治療を行います。ただし成人対象で、子供向けではありません。陽性反応テストは、パッチテストと言って、皮膚にアレルゲンとなる物質を付け、陽性反応を確認するものです。食物アレルギーの場合は、血液検査を行います。
治療方法は、7〜10日のペースで微量の薬を注射していきます。1〜1年半続け、徐々に薬の量を増やしていきます。個人差がありますが、3〜5年程度効果があると言われています。

今日から予防&症状緩和対策!
1日中続く鼻のむずむず、くしゃみ、目のかゆみ・・・。この不快感から何とか解放されたい! アレルギー経験者なら誰しも同じ悩みを抱えています。ちょっとした心掛けや工夫で症状を軽くし、アレルギーとうまく付き合うことができるかもしれません。アレルギー別に予防&症状緩和対策をまとめてみました。

【花粉症には】
1. 花粉量の多い、北風の晴れた日(メルボルン)には、なるべく外出しないようにしましょう。
2. 出掛ける用事のある時は、前もってTelfast、Zyrtecなど抗ヒスタミン剤(薬局で$20程度~)を飲んでおきましょう。(写真左下)
3. 外出から戻ったら洋服についた花粉を払い落とします。
4. シャワーで髪や体についた花粉を落としましょう。
5. Fess Nasal sprayのような薬品の入っていない塩水の鼻スプレー($10程度)で、鼻の中を洗いましょう。
6. 目のかゆみやゴロゴロした違和感のある時は、Eye bathで目を洗います。Eye bath 容器($2程度)と Sodium Chioride Injection (5本セット$5程度~)が別々に購入できますし、セットになったものも薬局で買えます。(写真右下) 
7. 掃除をする時は、掃除機で部屋の中の花粉を舞い上がらせないよう、拭き掃除をしてから、掃除機を掛けるといいでしょう。
TelfastEey Bath

【ダニアレルギーには】
1. アレルギーの原因になるダニは、約3週間のサイクルで繁殖します。ダニの死骸やフンがアレルゲンになるので、こまめに丁寧に掃除機をかけましょう。布製のソファーやイス、ぬいぐるみも忘れずに。
2. できたらカーペットをやめてフローリングにし、カーテンをやめてブラインドにしましょう。カーペットが外せないときは、定期的にクリーニングを。ブラインドは、縦式など拭き掃除のしやすいデザインのものがいいでしょう。
3. ペットは、アレルギーの人の部屋には入れないようにしましょう。
4. 症状のひどい人には、ベッドのマットレスを包んでダニをブロックするカバー、Allersearch Dust Mite Allegen Control(薬局で$200前後)などがあります。割高なので、本当に必要か医師に相談してから購入するといいでしょう。

【日光アレルギーには】
1. 洗濯物を干す時など、短時間でも外に出るときは必ず、直射日光に当らないように、帽子、ジャケットなどで肌を保護しましょう。
2. 肌を清潔に保ち、保湿クリームなどを使用して、皮膚の乾燥を防ぎましょう。Hydraderm Cream(薬局で$5程度~)など、シンプルで香料などの添加物が入っていない物がいいでしょう。(写真右)


保湿剤の選び方
アレルギー症状に多い肌のトラブル。乾燥を防ぐのに保湿剤は大変役に立ちます。種類が多いので選択に困った時は、いろいろな成分が混じっていないものを選びましょう。成分が多いとそのうちのどれかの成分が合わずに、症状を悪化させてしまうこともあります。一般によく言われるワセリンやラノリンは万人向けではありません。ソブリンがお勧めです。
特に子供は表皮が薄いので、耳たぶの後ろに付けてテストしてから使いましょう。ベタベタした保湿剤は毛穴を塞いでしまうため、長期間は使用できません。

アレルギーのウソ・ホント
勘違いしていたり、思い込んでいるアレルギー対策や「目からウロコ情報」。

アリススプリングスでは17年に1度、ひどい花粉症になる人がいる。
ホント。
これはある種類の花が一斉に咲いた時に、その花粉が大量に発生するため。

ユーカリオイル、ティーツリーオイルなど殺菌作用があることから、洗濯の時に洗剤に混ぜるとアレルギーに効果がある。
ウソ。
洗濯機で洗えば、花粉もダニも落ちます。お湯で洗うだけでも効果があります。何も混ぜないほうがいいでしょう。他の物を混ぜるのは、あまり意味のない行為です。

普通の石けんに比べ、殺菌効果の高い石けんが良い。
ウソ。
普通の石けんで十分です。逆にいろいろな成分が入っていると、それが残って肌荒れの原因になることがあります。

マスクで花粉症予防!
ウソ。
全く効果はありません。マスクの布の穴よりも花粉の粒子の方が小さいため、マスクをしても、花粉は入り込んでいます。仮に隙間なくマスクをつけていたとしても、効果があるのは15分間だけと言われています。
花粉症でくしゃみが良く出る人などがマスクをすれば、周囲の人の迷惑にはなりませんが…。風邪やインフルエンザにも同じことが言えます。

カーペットよりも、畳の方がダニが繁殖しやすい。
ホント。
湿度が保たれる畳の内部に入り込んで繁殖します。

GPや薬局で使えるアレルギー関連英単語
当然のことながら日本語とは表現が違い、つらい症状を抱えながら説明した経験は誰にでもあるのでは? ここでは、覚えておくと役に立つアレルギー関連の英単語を表記。早く相手に伝われば、その分早く治るかも!?

*アレルギー反応を起こす:Have An Allergic Reaction   *遺伝: Heredity   *花粉症: Hay Fver
*スギ花粉アレルギー:Allergy To Ceder Pollen   *食品アレルギー: Food Allergy    *ダニアレルギー: Dust Mite Allergy
*皮膚の炎症: Skin Inflammation   *湿疹ができた: I’ve Got a Rash.   *湿疹・アトピー性皮膚炎: Eczema
(日本では、「アトピー性皮膚炎」が一般的に使われていますが、オーストラリアでは、「Eczema」と湿疹と同じように使われています)
*じんましん: Hives   *ぜんそく: Asthma   *鼻詰まり: Blocked Nose   *目(のど)のかゆみ: Itchy Eyes (Throat)
*のどがいがらっぽい: Irritated Throat   *くしゃみ: Sneeze   *診断: Diagnosis
*処方箋なしで買える薬:Over-the-Counter   *処方箋: Prescription   *ジェネリック(ノーブランド)医薬品:Generic Drug
*薬品の入っていない: Non-Chemical   *塩水: Salt Water / Saline   *鼻スプレー: Nasal Spray
*抗ヒスタミン剤: Antihistamine